白野週報

Molière a du génie et Christian était beau.

ロートルへの片道切符

 最近の学生はMS officeを使わずにgoogle spreadsheetやgoogle documentで作業をするらしい。直接学生に聞いた話ではないので真偽は知らないが、officeが割高であるし買い切りから年額を支払うサブスクリプション方式への転換を推し進めているので学生が敬遠するというのは分からない話でもない。そもそも学生がレポートを作成するぐらいの用途であれば、ExcelもWordも高度な操作が要求されることは少ない。そうである以上、無料で利用できるgoogleサービスを使用するというのは理にかなっているのかもしれない。もちろん、MOSなどの資格を持っていることが必要になる職場もあるのでofficeがまったく無用の長物になるかと言われればそういうことでもないのだろう。

 この手の実感の湧かない変化について耳にするとき、私はどうしても自分の年齢について思わずにいられなくなる。十代のころからゲームや漫画の流行にはついていけないところがあったが、それは単に関心の有無に過ぎなかった。しかし今はもう耳に入ってくるということが少なくなった。現今大流行の『ホグワーツレガシー』すら、新しくリリースされたスマホゲームのことだと思っていた始末。

 自分はまだ若いはずだと思いたい気持ちはまだある。しかし「人は褒めるところのない時”あなたは若いのね“と言う」と書いた作家がいたように若さが無条件に価値であるとは限らない。どうせ年を取るならせめて肯定的な気分で年を取りたいものだが、残念ながら今の私には「三十路の声はまだ聴きたくない」という浅墓な執着があるだけだ。