白野週報

Molière a du génie et Christian était beau.

何回も同じ話をしてしまう私

 先日『遊星からの物体X』が地上波放送された。W.キャンベルの傑作SF小説『影が行く』を原作にジョン・カーペンターが監督したホラー映画で、スリリングで悲壮感漂うシナリオと高水準の特撮とが特に評価されている。それゆえにショッキングシーンの多さにもかかわらず多くのコアなファンを獲得しており、私の友人にも愛好家がいた。

 同作にはピーター・ワッツによるパスティーシュ遊星からの物体Xからの回想」という小品がある。そこではおぞましき怪物「物体X」に霊性や知性が備わっており、人間は単に電気信号で動くだけの物体に過ぎないという価値の転倒が描かれているらしい。らしい、というのはつまり私はまだその小説を読めていない。話の本筋はここではなく、私がこの話を何回もしているということにある。

 Twitterでこのことを話題にしながらフと「前にも同じ話をしているな」と感じ検索したところ去年全く同じ話をしていた。私は上述の設定を『影が行く』の設定と永らく勘違いしており、全く同じ間違いを反復してもう一度同じ話題を口にしていた。なんという進歩のなさであろうか?

 そもこれに限らず、私はよく同じ話を口にしている。Twitterに限らず、同じ友達に同じ話題を通算で五回も六回も振ったこともある(さすがに短期間の話ではなく長い付き合いの中で、だが) 。武勇伝でなく、本当にどうだって良いような話を何回も口にしてしまう。もっとも、こういうことをするのは私だけでなく、私の回りの人も同じようなことをしているのであるが。

 このブログでも、おそらく何度となく同じ話を話題に記事を書いている気がする。怖いので確認はしていない。プロの書くものではないのでそれでいいといえばいいのだが、少し反省している。