白野週報

Molière a du génie et Christian était beau.

大つごもり

 大晦日は「おおみそか」の他に「おおつごもり」とも読むが、これまで生きてきた中で樋口一葉の『大つごもり』(1894)以外では聞いたことがない。私より上の世代の、ツケで買い物をして月末にまとめて支払っていた時代(こういう買い物の仕方をなんというのだったか、思い出せない)を知っているような人でも「つごもり」は聞いたことがないと言っていた。ただ、そういう時代なので「みそか」はいまよりも頻繁に使っていたらしい。私の世代では大晦日でないただの晦日は一度も口にしたことがないのではないか。そういえば韜晦の晦の字は晦日と同じ字を書く。「くらます」というような意味なので、月が暮れていくことと自分の正体を覆い隠すことと、そのどちらにも使われるのだろうか。

 今年もただ漠然とブログを続けるばかりで読み物の習作を書くという目的は果たせずじまいだった。『星の王子様』に「呑むことが恥ずかしくて呑んでいる」呑み助が出てくるが「書かないことが恥ずかしくて書かないで済ます」が常態化している以上、彼を嗤うことはできない。