白野週報

Molière a du génie et Christian était beau.

おいしいプロテインは存在しない。

 コロナ以来、スポーツジムを退会してしまったので猛烈な勢いで体力が低下している。数年前にいよいよベンチプレス100kgも現実味を帯びてきたという姿も一昔。夢だ夢だと嘆いてみても当時の記録をどこかにやってしまって実際のところ何kgまで上げていたのかはよく思い出せない。80kg台だったような気もするし、実際は70kg台だったかもしれない。どのみち、あまり大声で自慢するような数字ではなかったことだけは確かだったと思う。

 ただ、着実に負荷が上がっていくのは楽しかった。どこかで打ち止めになって100kg台にはなかなか届かなかったかもしれないが、もう成人してそれなりになる自分の肉体がはっきりといい方向に向かうことを実感できるのがうれしかった。そういう楽しみはフィットボクシングやリングフィットではなかなか満喫させてくれない。それらが無意味だと言いたいのではない。ただ、成果が目に見えづらいことは間違いないと思う。

 ウェイトトレーニングに励んでいたころの一番の悩みはプロテインが高くて不味いということだった。一番まずかったのはザバスソイプロテインヨーグルト味で、あれだけはもう頼まれても飲みたくないと思う。

 しかし、年長トレーニーの話を聞くと昔のカゼイプロテインはもっと不味かったらしい。プロテインの製造技術が進展して、高いと言ってもそれなりに買えるようになるのはつい最近のことらしい。映画『ロッキー』でロッキーが生卵のシェイクを一気飲みする描写はプロテインが手軽になる前の時代の一コマであると共に、アメリカの鶏卵は生食を前提にしていないためかなり危険なことをしている描写でもあるとどこかで読んだことがある。そういえば、『シティーハンター』の読み切り版でも冴羽獠が生卵を一気飲みする描写があったが、あれは風俗描写というより映画のパロディであるような気がする。

 プロテインに話を戻す。プロテインは500g単位で売られているものが一番手軽だが、値段としては割高になる。そこでコストパフォーマンスを考えるならマイプロテインやアルプロンで数キロ単位のものを買うのが良いのだが、大袋の欠点はとにかく途中で飽きることにある。体調を崩してトレーニングをしなかった時期などがあると賞味期限内に飲み終えるということができず風味が落ちて余計に不味くなる。なぜこんな不味いものをと思いながらトレーニングをやるのは苦しい。なんだか書いているうちに前にもまったく同じような話をした気がしてきたが、怖いので確認はしない。