白野週報

Molière a du génie et Christian était beau.

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

泉鏡花について最近思ったこと

硯友社系の作家のうち、現在でも辛うじて読まれ続けているのは泉鏡花ぐらいではないかと思う。尾崎紅葉門下の四天王と謳われたうち、徳田秋声、柳川春葉、小栗風葉を愛読しているという人を私は見たことがない。頭目たる尾崎紅葉すら、もはや一般には読まれ…

大迫力だった波乃久里子

先日、佐藤雅文率いる新派の子のリーディング公演を見物した。新派は本来、耳で聴く台詞だけでなく装置や衣裳、小道具といった視覚の要素の中に深い味わいがあるのだが(数年前に三越劇場でやった『黒蜥蜴』の美術は傑作だった)コロナ禍で松竹から実質見放さ…

今日も得るものなし

スマホで下書きをして、それを編集して公開する形式にすればブログもやりやすかろうと思ったが、スマホを新しくしてしまったのでそれどころではなかった。古いスマートフォンは2018年製なのでかれこれ満四年は使っている。なので、去年か一昨年にAndroidの日…

本当にきつかった話

ずっと調べてきたテーマについて出版で先を越されたショックで、週の後半はほぼ死に体で過ごしていた。どうでもいいが私は今この瞬間まで死に体の読みを「しにたい」と知らず「しにてい」と読んでいた。いい年をして恥ずかしいが、口に出して死に体と発話し…

卒業ソングとは言い難い『卒業』(1985)

最近、尾崎豊夫人による暴露記事を読んだ。いかに尾崎豊が滅茶苦茶な人間だったかということが痛切なトーンで回顧されている。その心中察するに余りあるところだが、尾崎が人間的にはかなり破綻していたということは尾崎のファンならずとも音楽史、特にソニ…