白野週報

Molière a du génie et Christian était beau.

日々の運動

 運動不足であるからと散歩に出たところ、いつの間にか二時間近く歩き回っていた。おかげでテレビゲームやビデオ映画で体を休めるわけでもなく、高負荷の運動で体を苛め抜くでもなく休みを空費してしまった。二時間歩き回ったうえで、風呂上がりにビールを開けているのであるから世話のない話だ。消費したカロリー分は、350ml缶一つであっという間に賄われたことであろう。寝酒というものは睡眠の質を低下させるだけでなく、カロリーの摂取という点からも害がある。とはいえ、週に一度か二度ぐらいであれば、罰が当たるということもあるまい。

 冒頭に運動不足と書いたが、新型コロナウィルス流行以来大勢の人が随分と運動不足に陥っているだろうということは日々の報道から感じられる。高齢者の「コロナフレイル」ということがよく報じられているが、とある大物歌舞伎俳優が舞台上で転倒したという騒ぎなどはその脅威を実に実感させるものだ(歌舞伎の装束は単なる着物というわけでもないので実に重量があるため、弱った体には堪えたのだろう)。問題は高齢者だけでなく、いわゆる現役世代にも波及している。例えば私などは、家庭や職場にコロナウィルスを持ち込むリスクを減らすためにスポーツジムを退会せざるを得なかった。ウェイトトレーニングの負担重量が日々上昇していく実に楽しい毎日は、疫病によって唐突に終わりを迎えた。ちなみに最後のスコアはベンチプレスが70kgを10レップ3セットといったところで、これはまったく自慢にならない数字だが運動経験の乏しい成人男性としてはなかなかよくやっていたのではないかと思う。

 話を運動不足の方に戻す。コロナ禍で運動不足に陥る原因の一つが、テレワークとオンライン授業であることは大いに考えられる。自宅から駅へ、駅からオフィスへ、そして同じ道程で帰路に就くという繰り返しは実に我々の健康維持を支えていたのではないか。無論、ここで言いたいのは「そうであるからテレワークを即時廃止せよ」ということではない。ただ、我々は通勤通学を失ったことで思った以上に歩かなくなっていると言いたいだけだ。加えて、こういった時世であるから外出の機会も乏しい。歩く機会が、これ以上奪いようのないほど減少しているというわけだ。

 先日「ダイエットをするならスクワットだけやれ」というツイートが注目を集めていたが、これは決していたずらに極論を述べたのではないと思う。スクワットと懸垂を組み合わせるだけで全身の筋肉を鍛えることができると言われているほど、スクワットは優秀なトレーニングだ。それに加えて、歩く機会が減っていることで我々の足は想像以上に萎えている。足の筋肉は大きいため、基礎代謝に大きく影響がある。足が弱ったことは肥満の原因として大いに考えられる。そうであるから、足を鍛えるということは実に理にかなっている発想なのだ。