白野週報

Molière a du génie et Christian était beau.

地獄の季節

 先々週は「3/11当日に不平不満しか出てこない私的な文書を公にするのはどうなのか」と思って更新を見送った。震災によって特に不利益を被ることのなかった私でさえ、干支一周分の歳月が経過した今でもそういう気分になる。

「春というか、年度末は人間が狂う季節だ。」ということをある友人がこぼしていた。私は業種が違うので忙しいだけで「狂う」とまではいかないが、言いたいことは分かる。春に限らず、「末」とか「期日」とかついているものが近づいてくると人間は段々おかしくなっていくものだ。年度末はそういったあらゆる「末」の中でもっとも強力なものなので、当然みんなおかしなことをしでかすようになる。

 そうでなくとも、春というのは私にとってはなにかうれしい気分よりもさみしい気持ちの方が湧いてくる感じがする。また桜が咲いたと思うよりも先に、アッという間に散ってしまったという思いの方が先立つ。新たな出会いよりも去っていく人に気持ちが向かう。こういう後ろ向きな感性が許されるのは架空のキャラクターだけなので、どうにか直す方がいいとは思うのだがどうすれば直るのかはよく分からない。このままいくと生涯後ろ向きなまま生きていくことになりかねない。だが、あまり「俺は後ろ向きな嫌な人間だ」と思い詰めてもますます暗くなっていくのでどうしようもないのだ。