白野週報

Molière a du génie et Christian était beau.

SwitchONLINEに思うところ二、三

 SwitchONLINEのサービスとして提供されているファミコンスーファミゲームボーイエミュレーターは、年額2,000円強で使えると思うと異様なほどコストパフォーマンスがいい。レトロゲームに執着があり、もはやゲームで遊び得る時間があまり持てない私などは新作ゲームを買うよりもそちらを優先してしまっている。商売として成り立っているのだろうかと、天下の大企業相手に余計な心配をしてしまう始末。

 しかし、おそらく多くのユーザーが指摘しているとおり、操作説明が一切つかないというのは不親切の感が否めない。スーパーファミコンソフトのうちキーコンフィグ機能がついているソフトはそれを見さえすればなんとかなるし、ファミコンゲームボーイのソフトは使うボタンが少ないので適当に操作してどうにかならないこともない。とはいえ、ファミコンソフトでも『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』は説明書にアイテムの仕様が掲載されていたので、説明書抜きに遊ぶのはかなり難しい。スーパーファミコンの『スーパーファミリーテニス』は移動キーと各種ボタンの組み合わせでショットの打ち分けを行うことができるが、説明書抜きではよほどセンスのあるプレイヤーでないと身に付かないだろう。

 もっとも、説明書のたぐいは愛好家がネットに公開していることも少なくないので(それが権利的にどうなのかは、ここでは考えない) 、そういうものを当てにすることを前提にしているのかもしれない。

 また、ジョイコンの方向キーはあまり入力がスムーズでなく、逆にアナログスティックは上下左右の位置で決め打ちにすることが難しく、少し力が入ると斜め方向にスティックが入ってしまう。プロコンの十字キーはその点、元のハードと同じ感覚で入力することができる。ただ、アナログスティックの方はやはり意図しない斜め入力が起こりがちであるように感じる。

 他にも、セレクトボタンを多用する『スーパーメトロイド』は十字キーで操作をするとセレクトボタン(スイッチコンの−ボタン) を押すタイミングでアナログスティックに指がぶつかって操作がもたつくことがある。もっとも、これはこちらで慣れるかキーコンフィグを弄るかすればなんとかなる範疇ではある。

 以上、減点要素をいくつかあげたが、それらを勘案してもなおサービス過多と言えるもので、満足できるものであることは間違いない。古いゲームソフトには、正規の手段で遊ぶことができないものが徐々に増えてきている。これらに対する「文化の保全」がいかになされるかという点から見ても、この手の試みが有意義であることは疑えない。