白野週報

Molière a du génie et Christian était beau.

ビールの飲み比べ

 私の一番好きなビールの銘柄は麒麟クラシックラガーで、それにほぼ並ぶような位置にバドワイザーが置かれている。私は酒類に対して詳しくないのでそれぞれのビールのどこがどう好きなのか明確に語ることは出来ない。しかし、クラシックラガーバドワイザーではタイプが明確に違うということはなんとなくわかる。バドワイザーはキレがないところ(というと表現が悪口みたいだ)が良く、クラシックラガーの方が日本で流通しているビールの標準的な切れ味というのが私の印象だ。日本のメーカーなら、マルエフなどはバドワイザーと同じジャンルに入るような気がする。ビールのマニアにとっては噴飯ものの感覚かもしれないが。

 健康のためにはビールなど飲まない方がいいには決まっているのだが、25を過ぎたあたりからビールが好ましく思えてきたのでつい、飲んでしまう。ビールがおいしく感じるのは味蕾が加齢とともに劣化するからだとしたり顔で説く人もいるが、それは間違っている。もちろん、そういう見立ては科学的には正しい言い回しなのかもしれない。だが、加齢は避けられない以上それに伴う変化を「ベストの状態が失われていく」と悲観的に捉えてそれを他人に押し付けるのは少なくとも日常におけるコミュニケーションとしては好ましくない。「涙もろさは脳の劣化だ」という広く知られた科学的知見も私は好まない。

 話をビールに戻す。居酒屋では生ビールが標準化していて「とりあえず生」というテンプレートがよく非難の的になっている。それ自体はTPOごとに店員を困らせず、ビールが嫌いな人アルコールが飲めない人に配慮してやるべきだと思う。だがそれ以上に、気楽に入れる安い居酒屋のビールサーバーはあまり手入れが行き届いていないことが多いので、生ビールがおいしくないことが少なくない。私の好きな某安居酒屋チェーンは業界内では特に社員、アルバイトに優しい優良企業であると大変評判なのだが、生ビールは臭い。いつもとは言わないが、臭いことが多い。なので私は安い居酒屋では瓶ビールを飲むことを推奨している。瓶ビールも結局内容物は生ビールであることが多い(明確にラガービールと銘打っている場合は別)。あまり手入れの行き届いていないビールサーバーからジョッキに注がれたビールよりも、手酌で注ぐ瓶ビールの方が良いではないかと私は思うのである。